ログハウスはどこにでも建築可能?土地選びの前に知っておくと安心なポイント
ログハウスと言えば、自然に囲まれたイメージがありますよね。
山や海が見える静かな環境のなかでログハウスに住みたい…、そんな理想を持ってログハウスをマイホームの選択肢にいれる人もいるかと思います。
自然に近い環境も魅力ですが、一方では生活の利便性を考えて市街地に建てたいというケースもあるでしょう。そんなときに浮かぶのは「そもそもログハウスはどこでも建てられるの?」という疑問かもしれません。
土地選びは、ログハウスの住み心地にも深く関わってきます。
今回は、ログハウスの土地選びで知っておくとよいポイントをお伝えしていきます。
ログハウスを建てるなら郊外?
「景色が綺麗」「周囲が静か」という環境のなかに佇むログハウスは、とても素敵ですよね。自然のなかにもマッチするので、「やはり郊外がいいのだろうか」とも思えます。
実は、ログハウスはどこにでも建築ができるわけではありません。
ログハウスは、防火の観点から規制が多いため、周囲にビルが立ち並ぶような中心市街地に建築するのは難しいです。また、住宅地のなかでも「閑静」と表現できるような静かな環境だとしても、建てられないケースも少なくありません。
防火地域には建てられないログハウス
ログハウスの土地探しでは、「防火」がキーワード。
防火地域には建てられませんし、準防火地域でも条件をクリアしたケースのみ、建築が可能です。
・屋根や壁に不燃の材料を選ぶ
・構造を燃えづらくする
・隣地との距離をとる
など、いくつかの規制があります。
防火地域とは何?
防火地域とは、火災が起きたときに延焼が広がらないために「防火構造で家を建てるべき」と建築基準法で定められている地域を指します。
ログハウスは、一般的な木造住宅と同じく「木」で建てられています。しかし、木造住宅は壁をモルタルやサイディングなどで覆います。太いログ材を積み重ねて壁を構成するログハウスは、木があらわになっています。そのため、「燃えやすい素材で火事のリスクがある」として、防火の観点では防火地域には建てられません。
本来、ログ材が太いことから、表面が燃えても内部に火が到達するまえに鎮火するほど、ログハウスは燃えづらい特徴があります。このように耐火性という特徴を持ちつつも、建築基準法では「延焼するかもしれない木材が表面にむきだしになっている」ことから、「不燃材ではない」という判断がされてしまいます。
準防火地域なら建設が可能な場合も
「防火地域」よりも規制が緩やかなのが「準防火地域」です。
準防火地域であっても火を広げないための規制が細かく、屋根や外壁の素材にしなければなりません。金属製の素材はOKですが、外壁にログ材をそのまま使うログハウスにはできません。
準防火地域のログハウスの場合、屋根や壁を耐火性の高い素材でカバーします。ログ材が燃えないような防火構造が建築条件として求められるでしょう。
ただ、近頃のログハウス施工会社では、準防火地域でも建設がOKの「認定」を受けたものも増えています。そのため、「個性的なログハウスを利便性の高い市街地に建てたい」と考えたときに、“準防火地域”までなら建てることができるのです。
だとしても、
・不燃性の屋根材を使う
・道路の中心線や、隣地との境界から距離を離す
などの規制をクリアしなければなりません。
ログハウスは郊外の方が建てやすい
「準防火地域」の市街地なら、条件さえクリアできればログハウスが建てられるかもしれません。ただ、階数によっては「隣地から一定距離を保つ」という条件により、広めの敷地が必要です。
一般的に、防火地域や準防火地域に設定されているような市街地ほど、建物の敷地を広めに手に入れることは難しいのが現状。そのため、ログハウスは、郊外の方が建てやすいと言えるでしょう。
しかしながら、今では防火地域以外でも建てられるケースが増えています。
土地探しのポイント
ログハウスは、一見、別荘のような“非日常”を感じさせてくれる外観をしています。日本の木造住宅とは雰囲気が違い、欧米を思わせるような外観が魅力です。ただ、ログハウスに住むとなれば、外観だけを重視するわけにはいきません。
ログハウスに住むときに、園芸や近くの山への登山、家族みんなでバーベキューといった「休日には趣味を楽しみたい」という理想像もあるでしょう。仕事をしている人なら、会社への通勤は毎日のことなので、ストレスがないように土地選びをした方がいいでしょう。子どもがいる家庭なら、学校のことも考えておくべきです。
余暇の過ごし方を重視すると、毎日の通勤・通学がストレスになることもあるので、家族のライフスタイルも含めて、地域を絞っていくことをおすすめします。
また、前述したように、利便性を重視して住宅地を希望すると、「防火地域」や「準防火地域」での規制で思い描いたログハウスが建たない可能性もあります。初めに土地を決めてしまうと、「条件に合わずにログハウスを断念」という結果になるケースも考えられます。
ログハウスの建築は、土地選びの段階から施工会社に相談し、現実的なアドバイスをしてもらうようにしましょう。